2015/02/08

ちがいを豊かさに

人権の絵本〈2〉ちがいを豊かさに/大月書店



¥1,890
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あるところに三つ子の王子がいました。






王子たちは何もかもそっくりでしたが、


三番目の王子にはひとつだけちがうところがありました。




上の二人の王子はつむじが右巻きなのに


彼のつむじだけは左巻きだったのです。






「おまえは左巻きのくせになまいきだぞ」




末の王子はそういじめられるたびに


「どうしてぼくだけ左巻きなんだ」と頭をかかえて泣きました。






それから数年後、その国では


左巻きの王子が王位につくことになりました。




上の王子は二人ともはやり病で死んで 

しまっていたからです。




左巻きの王様は左巻きの家来だけを大臣にして


「つむじ令」という新しい決まりをつくりました。




1.右巻きは左巻きに従わなければならない。

2.右巻きは左巻きとおなじ地区にすんではならない。

3.右巻きは左巻きとおなじ乗り物に乗ってはならない。

4.右巻きは左巻きとおなじ学校に行ってはならない。

5.右巻きは左巻きと結婚してはならない。




「つむじ令」が出るとそれまで仲よくくらしていた


家族や友だちや恋人はひきさかれ、離ればなれになってしまいました。




「つむじ令」で得をしたのは左巻きで損をしたのは右巻きです。

しばらくすると左巻きは右巻きを軽蔑し、




右巻きは左巻きをうらむようになりました。




それから100年後、「つむじ令」はなくなっていましたが、


今でもこの国では左巻きと右巻きが平等ではありません。




人間のつむじに右巻きと左巻きのちがいがあるのは


あたりまえのことなのに!








みんな同じ顔なら   

顔はないもおなじ



みんな同じ名前なら 

名前はないのもおなじ

...

みんな同じ性格なら

性格はないのもおなじ



みんな同じ性別なら

新しい命は生まれない



みんな同じ感受性なら

新しい音楽は生まれない



みんな同じ意見なら

新しい考えも生まれない



みんな同じ速さなら

��00m走は行進と同じ



どこへ行ってもおなじ風景なら

観光旅行は牢屋の散歩



いつの時代もおなじ世界なら

タイムトラベルの夢も消える



誰もがみんな同じだったら

私はないものとおなじこと










岩川直樹「ちがいを豊かさに」より












最近、本を貼り付けてばっかりですね(笑)



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