2015/04/03

文楽から見るフランチャイズ



浄瑠璃とはそもそも仏教の「清浄なるもの」の意味、
よって、得意としていたのは神話・伝承の世界であって
それが歌舞伎とは大きく異なる部分です。



この人形劇(人形浄瑠璃)の一つに
文楽がありまして、



今風に例えるなら、浄瑠璃がオーケストラで、
文楽はミュージカルのようなものでしょうかね。
(ちょっと違うか?)



この文楽の伝統継承の方法を見れば、
実に奥行きが深く、ビジネスにも参考になります。



今日はそんなマニアックな小噺でも。。。







さて、この文楽は男性によって演じられ、
太夫、三味線、人形遣いを合わせた「三業」の
三位一体を演じるのが文楽の特徴です。



三業は普段、慣れ合う事はなく、
舞台では真剣勝負をしていると言います。



そんな三つ巴の白熱した演技だからこそ、
観客は感動するのでしょう。



そんな文楽は基本「丸本」と言われる原本に
沿っているのですが、それを鵜呑みにしていません。



人間が行う以上、その体得は
個別指導、そして実践の繰り返しなんですね。



弟子になったら、自分の志望がどうあれ、
まず「三業」すべての稽古をし、
そこから太夫・三味線・人形と専門へと分かれると言います。



まずは全体から、ということでしょう。
「専門性だけ磨け」というビジネス論者には耳が痛いところですね(^_^;)



☞ ☞


閑話休題、
三味線と太夫の関係性はとても密接なもので、
昔は「盃」を交わすほど深く、「相三味線」と言われています。



今では形式こそ変わったようですが、
文楽の源流にはそんな深い信頼関係があったんですね。



それによってインフォーマルな関係性が
生まれるのでしょう、



例えば演技の際、「頭」と呼ばれる
主遣いの合図によって呼吸を合わせるという、
ピラミッド型の指示体系が基本なのですが、



全て指示通りに動くのではなく、
時として主遣いの期待以上の動きをするのだとか。



部分(右遣い・足遣い)の意思が
全体(主遣い)の意図を超える。



つまり三業は上下関係こそあれど、
美意識を共有した協働作業ができるのです。



まさに、そこにはフォーマルとインフォーマルの
融合された場の創造が起こっています。



☞ ☞



マニュアルや体系は秩序と同時に
段階的な「限界」を作ることを意味します。



名人の音だけを真似したり、
指示通りにやっても観客には響かないもの。



その人が、どう考え、どんな意気込みで弾いたのか、
文楽ではそこまで深く掘り下げているのです。



それによって初めて、
新しい演芸が生まれるのでしょう。



上っ面だけ真似すると全く違うものになる、



人間という生ものを取り扱っている以上、
それはビジネスにも該当するのは間違いありませんね。




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