2015/05/09

VUCAの時代と無常観についての考察①




現在、世界中の経営者が使っている言葉に
「VUCA(ブーカ)」というものがあります。




それは今の世界概念である Volatility(変動) 、Uncertainty(不確実) 、Complexity(複雑) 、Ambiguity(曖昧) の頭文字をとったもの。




端的に言えば「先が読めない時代」ですが、
我々日本人はそんな変化流動の世界こそ実相だと
無意識的に感じています。


この国の根幹にある思想である「無常感」、
全てのものは移り変わっていく、
そんな成り行きの様を「そのまま」受け止めていた、と。




それは自力ではどうにもできない。
なぜなら「自ら」の他に「自ずから」派生する「ナニカ」がある。そう思っていたんですね。有るものはやがて無くなり、栄えたものはやがて衰える。なぜだかは知らないけれど、そう「成る」










無から生じたものが元の場所へ戻った。
それだけのことだ。



村上春樹の小説(何だったかな)に
確かこういった言葉があったのですが、
まさにこういったことでしょう。



ここでよく勘違いされるのが
「無常観とは虚無思想(ニヒリズム)」という見方です。



西洋では特にそう思う人が多い。
無秩序で混沌だと勘違いしまいます。



故に西洋哲学は考えることで無常の奥にある「分からないもの」を捉えようとし、宗教では、そんな無常を語る事で、浄土という永遠の「常」を求めたのですが、これは一種の現実否定です。



本来、我々はここからの「現実肯定」によって
陽気さや明るさ、そして驚きと感動があったのではないかしらん。




☞ ☞



「つぎつぎになりゆく、いきほひ」、



丸山眞男はこの移ろうという「あり方」が
同時に「次々」に「成り行く」勢いでもあり、



日本人はそんな流れゆく状態を肯定した
独自の精神がある、としています。




「春は、夏は」と移ろう無常を語りながらも、
そこに恒常的に循環した自然のリズムを捉える。




変化を語ることで常と成る。
真理が持つ両義性がここにあります。




ん。
長くなりましたので続きます。


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