2013/05/10

顧客満足と言う名の顧客傲慢



今月より4Kテレビの新製品が発表され、
各メーカー、需要を期待しているといわれてますね。
4kテレビとは、フルハイビジョンの4倍の画素数の映像。
つまり、今よりもっと綺麗に見えるテレビです。



・・・・・消費者は欲しがるのでしょうか?
僕だけでしょうか、全く興味がありません。
(そもそもテレビ自体、何年もまともに見てない)



テレビ離れの現在で、いくらハード(テレビ)の性能を上げようが、
肝心のソフト(番組)自体に興味が無いなら同じ結果な気がします。



メーカーそれぞれが多大な広告費を使い、
マーケティングにあたるでしょう。
電通や博報堂あたりの広告代理店は芸能人を起用し、
綺麗なCMを作るでしょう。



それで消費者は購買意欲を喚起され、
消費に向かうと思ってるのであれば・・・・・



家電メーカーは危険ですね。



今回はそんな「顧客目線」のお話し、
あくまでも個人的な意見です。



これは3k




僕の知り合いがスーパーの店長をやっているのですが、
最近の顧客のクレームの多さに困っているようです。



中にはありえないクレームを出す顧客がいるとの事。
多いですね、モンスタークレーマー。


ただ、今の顧客目線にさせてしまったのは、
売り手である企業の方にも原因があるんじゃなかろうか。
お客様をとにかく満足させよう、感動させようと
神様みたいに扱ってしまったもんだから、
顧客はそれが「当たり前の状態」になったんですね。



つまりその満足に慣れてしまった、と。
サービス精神は両刃の剣なんです。
やればやるほど良いわけではありません。



なぜならその顧客満足向上の繰り返しによって、
顧客自身の満足感がコントロールできなくなってくるから。




例えば、2つの箱の内、どちらか一つを貰えるとして、
あなたが選んだ方に100万円が入っていたとします。



普通なら大喜びですよね。




では、もう一つの箱の中には1000万円入っていたらどうでしょう?



不思議とすごくがっかりしませんか(笑)
満足感なんて、相対世界の産物ですから、そんなもんなんです。




つまり、以前なら素晴らしいサービスで
あるはずの感覚が当たり前になり、さらに
過剰なサービスが出ることで全く満足を感じないようになってる。



結果、普通の基準も高くなり
ちょっとでも下がればすぐにクレームを出し
店員の態度次第で火のついたようになる、と。



「お前、何様や」と言いたくもなりますわ(笑)
正直、そこまでして買ってもらいたくもないですね。







以前有名なコンサルタントが
「顧客は120%満足して初めて口コミをする」
なんて書いたもんだから、こぞって120%満足させた。



で、大半がやった結果「120%が100%」になってしまった、と。



無料オファーなんて今は何の魅力もないですよね、
もはや駅前の無料ティッシュ程度の価値になってるんです。


その環境は同業者同士のサービス合戦の結果でしょう。
つまりその人が変わったのではなく、環境が変わったから人も変わったのです。




映画の「es」と同じ原理ですね。

es[エス] [DVD]/モーリッツ・ブライプトロイ,クリスティアン・ベッケル,ユストゥス・フォン・ドーナニー
¥2,625
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この映画は実際にあった話を元に作られていまして
擬似刑務所で20人の男を「看守」と「囚人」に分け、
それぞれ与えられた役になり切ってもらい、2週間生活させるという実験をしたんです。



最初は何事もなく、和やかな雰囲気だったのが、
その与えられた役割を演じているうちに、次第に関係性が変わって行きます。


なんと模擬的であったはずの看守と囚人の間に
「上下関係」が生まれ、囚人は看守に服従し
看守は虐待を始めたわけです。



ここまで書くと、ちとオーバーですけどね(笑)
ただ、おかしな主従関係を作ってしまえれば
顧客自身、分からなくなってしまうのは確かです。


顧客は神様じゃないし、
売り手は卑屈にならなくていい。
無理なサービスは毎回やらなくていい。
そこでたとえ感動したとしても、それを基本にしてはいけない。



なぜなら、商売の原点とは売り手も
買い手も「ありがとう」と言える、
双方の価値交換であるはずです。



だからこそ近江商人の「3方良し」は
「我よし、人よし、世間よし」という素晴らしい行動指針です。



「全てはお客様の為」と言ってますが、
従業員が苦しさを伴ってしまっては、ただの自己満足であり偽善ですよ。





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