2013/03/18

トリアーデ



詩人、茨木のり子氏の73歳の作品に、
「倚りかからず」というものがあります。




倚りかからず (ちくま文庫)/筑摩書房


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もはや できあいの思想には倚りかかりたくない 

もはや できあいの宗教には倚りかかりたくない



もはや できあいの学問には倚りかかりたくない

もはや いかなる権威にも倚りかかりたくない





ながく生きて、心底学んだのはそれぐらい





じぶんの耳目、じぶんの二本足のみで立っていて

なに不都合のことやある





倚りかかるとすれば それは 椅子の背もたれだけ









強い女性、誰にも依らない生き方。



彼女はそれを目指したのでしょう、
以下の詩にも、そんな強い意志が表れています。



自分の感受性くらい/花神社


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ぱさぱさに乾いてゆく心を

ひとのせいにはするな




みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを、友人のせいにはするな

しなやかさを失ったのはどちらなのか





苛立つのを 近親のせいにはするな

なにもかも下手だったのはわたくし





初心消えかかるのを暮しのせいにはするな

そもそもが、ひよわな志にすぎなかった





駄目なことの一切を 時代のせいにはするな

わずかに光る尊厳の放棄







自分の感受性くらい、自分で守れ、ばかものよ











うー・・・・・ん、



池田晶子氏もそうですが、
人に頼らない生き方を選んだ女性は確かに美しく、
本質的な真善美を掴んでいます。



ただ、誰でも彼女らのように強くは生きれない。
それは決して、惰性からではない場合もあるでしょう。




もちろんわかる、非常にわかる。




ですけど・・・・という感じです。




☞ ☞ ☞





僕自身「自立と自律が大事ですよ」
と言っていますが、
その持論を、誰でも彼でも押しつけたくはありません。





食材をどんなに細かく切り刻んだとしても、
食べやすく調理したとしても、



本人が咀嚼しないなら、喉を通らないじゃないですか。




スプーンで口まで持って行こうと、
口の中に入れようと、「食べる意志」がないと意味がない。



その「意志」だけはどうにもできない。
否、「どうにかしようとしてはいけない」と思うんです。



彼女らのように凛とした生き方は
美しくはあるけれど、



そう思っている人がいれば、
どうしてもそう思えない人がいる、



僕はこれ、良い事だと思うんです。
良いと言うより、仕方がない。



もちろん、近にいるとカチンときますけどね(笑)
それが反面教師ってやつでしょう。




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