2012/01/03

経済道徳合一説



先日は世阿弥について書きましたが、
今日は日本資本主義の父と言われた
渋沢栄一氏をご紹介したいと思います。



日本流の事業を語る際、
この方抜きには語れません。






日本で初めて株式会社を作った渋沢氏は
現在のみずほ銀行のほか、東京ガス、東京海上火災保険、
王子製紙、キリンビール、理化学研究所など、
約500社以上の企業設立に関わり、P・ドラッカーも氏を称賛しています。



そんな渋沢氏の生家である渋沢家は、
藍玉の製造販売と養蚕を兼営しながら
米、麦、野菜の生産も手がけるという半農半商
(と言うより、豪農豪商)でした。氏の父親は
教育に熱心だったことから栄一氏は幼少から
論語などの中国古典を学んでいたのですが
同時に商売も早くからやっていて大人顔負けの商才を発揮していました。


なるほど。小さいころから哲学(学問)と
商売の知識を同時に詰め込んでいたんですね。
それが後に「論語と算盤」の基礎となったのでしょう。


☞☞


やがて尊王攘夷に参加した渋沢氏は
紆余曲折を経て京都で幕臣となり、
「農業・哲学・経済・政治」という様々な
経験をもとに「和魂漢才」を編集させた
「士魂商才」の思想を生み出します。


それは「論語とソロバン」という矛盾した
存在を合一化するというもの。端的に言えば
武士の精神と商人の才能を兼備することです。


商売は多くの人に利益をもたらす営みであって
読み書きそろばんだけを学んでいた商人に対し、
自己本位の儲け主義に走ってはならない、と諭したんですね。


それが経済を発展させ、利益を独占するのではなく、
富は全体を豊かにする為に共有するものとして還元する
「経済道徳合一説」です。


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現在、この国の成長政策と言えば金融や
財政、規制緩和ですが渋沢氏からすればそれは
「ソロバン」だけの話であって片手落ちなんですね。


現在行っている政策も数字だけの戦略、
GNIが増えれば消費も増える、法人税を下げれば
会社はそれを給与に回すという単純な計算でしょう
そもそもGNI(国民総所得)と給与を一緒くたに
する事自体的外れです。※日本の法人は約260万社中、約8割(200万社)は赤字ですから。


それでも「彼らは」ラーメン好きな人の
給料が2倍になったら2倍食べるだろう、と思ってる。


ビール好きな人は2倍飲み、
パスタ好きな人は2倍食べ、
3倍上がれば3倍飲み食いする、と。


んなアホな事はありませんよね。






戦前・戦後の時代を知る経営者は
一度は捨てそうになった人生を取り戻した
経験からか、自らを無にして本能に
大事な事が何か冷静に判断できる強みを感じます。



「幾たびか辛酸をへて志はじめて堅し」



そんな経験は、今の豊かな時代では
なかなか得難いものですが、unreveは
それを復活させたいと思っています。



懐古論ではなく、新しい価値を伴わせながら。





人生の行路は様々、
時に善人が悪人に負けたように見えることもあるが、

長い間の善悪の差は確然とつくものである




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