2012/09/11

加減の定義

時は江戸時代。
徳川家康が武将達を集め、食べ物についてこう尋ねたという。




「この世で一番おいしいものは何か」。






武将たちの答えはそれぞれ。
酒と答える者もいれば、好きな菓子や果物の名前を挙げたという。


当然、家康は不満である。


そこで家康は、側室である、英勝院(お梶)に
「なにが一番、美味しいと思うか」 とたずねた。



お梶はこう答えた、
「一番おいしいものは塩でございます」 と。



家康はさらに「では、一番まずいものは何か」と尋ねた所、
「一番まずいものも塩でございます」 と答えたそうだ。



家康は、お梶の聡明さに大変感心したという。







さて、今でも塩は「味の決め手」である。
つまりあらゆる味を活かす素材だ。



よって、お梶が言うように一番美味しいものに間違いない。



また、全ての味を殺すのも塩だろう。
よって塩は一番まずいものでもあるのだ。




つまり塩とは「美味しくも不味くもないもの」。
こう定義できる。



このように、塩とはサジ加減一つで変化する
一番分かりやすい食材なのだ。



塩とはあらゆる素材をまとめる「部分」である。
その加減を知ってこそ、本質(肉や魚)は活かされる。



火加減もそう、ゆで加減もそう。
あらゆるものは「加減」によってその持ち味が際立つのだ。




☞ ☞ ☞



料理に限らず一流ほど、素材にこだわる。




しかし、どんなによい素材を手に入れても、
加減がなければ、その素材を殺してしまうだろう。




活殺はその人次第、「加減覚の知」。
これがリゾームで一番難しい概念だ。









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