2013/07/22

朝の唄

近代日本画家である伊藤若沖は、
対象を細かく描きながら、自己の創造性と
融合させていることから、奇想の画家と呼ばれた。



そんな伊藤の作品である
「動植綵絵(どうしょくさいえ)」の中に、
秋塘群雀図(しゅうとうぐんじゃくず)というものがある。








七十以上の雀が、稲穂が実る秋の時期、
一斉に飛び立っている、躍動感のある作品だ。



ふと見れば、そんな雀の中に
一羽だけ「白い雀」が描かれている。



白い雀は言わば「異質」である。
醜いアヒルの子なのだ。




人間からすれば、差別の対象である。
大衆という枠からはみ出した、特異な存在なのだから。



しかし、その白い雀は群れから
離れることはない。



それどころか、他の雀たちと、
何ら変わらないかのように一緒に飛び立ち、
同じ方向を目指しているのだ。



つまり、選ばれたリーダーとして
率先しているのでもない。



なるほど、
白い雀とは特別な存在なんかじゃない、
そんなもの、我々の目鼻立ちと変わらないのだ。





目指す方向へと無心で飛べ。


この絵を見ると、そんな意図が感じられる。


0 件のコメント:

コメントを投稿