2012/11/13
両成敗
運命と宿命、偶然と必然。
長い事生きていると、上記について考える事はよくある。
ライプニッツは可能世界において
根拠律(必然性)と矛盾律(偶然性)を分けて考え、
カントはそれは理性では解けないアンチノミーとした。
さて、あなたはどちらを信じるだろうか。
例えば、男性と女性が互いに惹かれ、愛情を持つ、
というものは、自然の必然的法則である。
しかし、どの男性とどの女性が巡り合うかということは、
運命的出会いという表現があるように、自然の偶然的法則である。
よって、自然の必然性は内的に偶然性が含まれる。
我々が何を選ぶかは、まさに我々に委ねられるが、
運ばれてくるもの自体には委ねるしかない。
このことから、科学が森羅万象を
完全に予知する時代は決して訪れないと断言できる。
逆に科学が進歩すればするほど、驚きや賛嘆、
さらには畏怖としての「生命の神秘」を覚えるだろう。
今日はたまたま、そんな小話をしようか、と(笑)
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さて、西洋の自我はものごとを判断するとき
「どっちか一方を選ぶ」傾向がある。
西洋宗教はそこから絶対性、必然性を目指した。
それが唯一無二の一神教、である。
例えば、キリスト、イスラムなどの一神教において、
我々人間の本性は「悪」である、と定義される。
なるほど、悪であるから善いことをしなければ
我々迷える子羊は天国には行けないとする教義と、
善い行いをしようがしまいが、神によって天へ行けるものは
すでに決まっている、という教義がある。
まあ、いずれにしても人間の本性は
前提条件では悪である、ということだ。
よって、聖書の御言葉に従うのみ、
そんな完全な外律型が西洋宗教の特徴だといえよう。
つまり絶対(悪))から絶対(善)へのシフトが
神を信仰することにより、可能となるのだ。
こういった原理主義は理性を外部に委ねているため、
いち人間の説得なんて、通用しない。
逆を言えば、だからこそ大義名分が成り立つのだ。
まさに蛙を睨む蛇のごとく、である。
現在、「この国の為」という幻想によって
ありえない大義が発動されているのだが、
これでは原理主義と全く変わらないのではないだろうか。
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話は逸れたが、西洋のそれと比べ、
日本の精神性はそれとはちょっと異なる。
それは対立二項のどちらか一方を選択するのではなく、
矛盾したそれを統一しようとする超克的意識である。
曖昧な態度とは、こういった精神性の
発達が未熟な状態とも言えるが、特質なのだ。
自分だけでなく他人も含めた「どっちも」を選ぶ、
人間の意味は「ヒューマン(人)」ではなく、世間である。
つまり我だけではなく非我への配慮があるのだ。
これはこの国ならではの「美点」であろう。
例えばあの大震災において、
暴動や略奪はほとんど起きなかった。
海外メディアは賞賛しているのだが、
当の日本人からすれば、ごく自然な「行為」である。
そしてこれが加減を間違えると
個人を認めないムラ社会となり「汚点」となるのだが、
本来、この国は個人と集団を両立できる
一段高い精神性を持っているのを忘れてはいけない。
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近江商人の3方良ししかり、お互い様の精神しかり、
また、日本には室町時代に作られた「喧嘩両成敗式目」がある。
両成敗とはつまり「争う」という事自体をやった以上、
互いの言い分はどうあれ、どちらもルール違反とみなされる。
今のガザ地区のような復讐の連鎖は
この制度からすれば、お互いが悪だ、と言う事だ。
当然、不公平になる場合もあるし
先に手を出した方が悪い、という場合もあるが、
我々の本質は清濁併吞、善悪は揺れ動くものである。
その善悪の境界線は、常に必然と偶然によって変動する以上、
場合によっては立場が逆になる場合だってある。
これを仏教では「縁起」・「因縁」と呼んだ。
何が起こるか分からないが、そこから何かを成すのだ。
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過去の慣習法によって身に付いた必然性は
ホメオスターシス的な恒常性を持ち、マスキングされ、アドレスを持つ。
世界はそんな「必然的」による選択と、
そのアドレスから派生した主観によって構築される。
言うまでもなく、現実とは選択の連続である。
我々は選択と対応によって現実(運命)を作り上げている。
宗教の説くように宿命的な流れにただ流されているのではなく、
その流れから、能動的に、主体的に対応しているのだ。
何処からともなくやって来る偶然的現実(実在)に対し、
我々がそれを必然的現実に再変換していると言える。
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勇気を振り絞ってコメ残してみました!!素敵なブログを書かれてるんですね^^ 他の記事も読みますね!!また遊びに来まーす(^^)★
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さまざまな方のブログを見て回って勉強してます!!私はネイルサロンとFacebookがお仕事でそれについて書いてます!!読者になったのでまた遊びに来ますね♪よかったらアメンバーになりましょう☆