2012/04/10
パタン・ランゲージ
スキルが発達すればマニュアルはかえって邪魔になる、
これは熟練のプロフェショナルなら頷ける部分だろう。
マニュアルとは言わば「制約」である。
遵守であるが厳守ではない。
しかし、この制約によって
暴走に歯止めをかける場合もあるのだ。
今日はそんなところから。
あくまでも個人的な意見です。
アレグザンダーはセミラティス構造による認識が重要だと説いた、
セミラティスとは、組み合った集合の包含関係のことである。
長い年月によって自然に派生した都市の形態に
物質的要素の集合が関係性を持ち合う、
まさに統合的な構造論だと言えるだろう。
氏は自然構造はすべてセミラティスだが、
我々人間は、それらを全てツリー構造に
還元してしまう傾向があるという、
「都市はツリーではない」。
なるほど。アレグザンダーの目には
ハイエク同様、不自然な都市に映っていたのだろう。
☞☞
建築家の創造性は時として暴走してしまう。
ツリーへの希求とは、まさに理性的な偏在である。
しかし、専門家以外の人からすれば、その
暴走性に対し、反論することができない。
これでは集団の力はますます強固になる。
国家もまた、同じことが言えるだろう。
故にアレグザンダーはそこに境界線を引いた。
それが「パタン・ランゲージ」である。
それは建物や街の形態に繰り返し現れる
法則性(パターン)を言語(ランゲージ)にして
誰でも参加できる共有言語のこと、
その数、実に253種類パターン。
これによって、専門家ではなくとも、
意見することができるし、チェックすることもできるだろう、と。
いわばクリエイティブである創造性に
ある種の制約をかけることを目的としているのだ。
ちなみにこのパターンはコンセプトと違って変化する。
だからこそ、「生き生きとした有機的な都市」が
生まれると言うことだ。
現代人は法則とか概念とか、建物や町を
生き生きとさせるにはなにをすべきかと言った
ことに捕らわれすぎていて、事物がなすがままに
発生するのを恐れるようになった。
「体系」や「手順」とともに作業をしないと
自分たちの環境が混沌に陥ると思い込んでいる。
~「時を超えた建築への道より」~
一人の天才が作り出すものと
最大公約数的な集合知、そのどちらが
優れているかは断言できないが、
氏が作った「共有地」であるこのパタン概念は
我々も参考になるのではないだろうか。
「後記」
とは言え、パタンだけでは
どうもうまく行かなかったらしい。
そこでアレグザンダーは解決策として
「秩序の本質」を書き出している。
それがまるで哲学書か神秘主義者が
書いたような内容になっているのは、
多分に本質を追及した結果だろう。
もしかすると、アレグザンダーは
形式できない形式美を求めているのかもしれない。
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