2016/05/13

対話篇











「マスター、もう一杯」




「今日は飲むね」




「久しぶりに一人だからね」




「いつものおチビちゃんは?」





「沖縄。おかげで好きなだけ飲める」





「たまにだから良いんだよ。
ずっといないと、寂しくなる」





「そんなもんかね」










「スマホ解約してガラケーにでもするか」




「どしたの。いきなり」




「いっそのこと、ブログも辞めるか。
営業はHPとアナログで十分だし」



「たったの6年でもうネット嫌いになったか(笑)」



「概念をパクるのは勝手だか、それをさも
自分の考えだと言ってる奴、そして間違って
解釈して語ってる奴・・・見てて耐えられんよ」



「結構いるね、漢意で大和心を語る人」




「これじゃ平田篤胤と何も変わらん。
大声で叫んで、人を間違った道へ導く」




「パクるなら正確にパクれ、ってことだ(笑)」




「本当に日本の流れを知ったら
眼からウロコが落ちる、間違いなく落ちる」




「頭で解釈した人の言ってるやつは逆だね。
目にウロコをつけちゃう」



「いつの時代も、男は愚かで、アホだ」




「で?これ以上書かないの?」




「後追い君が何を語るか見てみようと思う。
どうせすぐボロが出るから」




「厳しいね」




「いくら過去の記事を改ざんして
本人が変わってない」




「言行不一致か






「往生際の悪い奴ばかりだ」




「もしかするとネットって、
醜いところを映す鏡なのかもしれないね」





「そうかもしれないな。
現実の付き合いが大人しくなる反面、
文字を書くと途端に激しくなる。」




「王様の耳は~・・・・か(笑)
まっ、目の前に穴がありゃ誰だって叫びたくなるか」




☞☞☞





「流れってのは、一度できたら止まらんね」




「そうだね。僕は気にしないけど」




「多分、何かが足りないから・・が原因じゃないな。
むしろ逆、あり過ぎるんだ」




「そうかもしれないね。今は豊かだ」




「そこからさらに「不幸」を避けようとするから
「不安」が増しているんだ」




「その不安を解決しようとすると
おかしな思想にコロっといってしまうんだろうね」




「それが大衆心理の入口ってやつだ。
ヤスパースは大衆と民族には
決定的な違いがあると言っているよ」 



「あはは。民族は様々な秩序に成員化され、
生活方式、思惟様式、伝承において自覚的である・・・でしょ」



「共通した雰囲気を持ちながら、個性を持っている。
反面、大衆にはそれがない」



「無地盤と空虚はセットだからね、そんな人が
宣伝と暗示の対象となるのは仕方ないよ」



「ニーチェはすごいな。それを早くから
予感して、俗衆社会だと抵抗してた」




「でも結局、世界はそっちに向かってるわけでしょ」




「・・・・・・・」




「良いじゃない、それも時代の流れってやつだよ」




「分かってても気に入らないな。
外的必然性を信じるってことは
自分を一個のメカニズムだって信じることだぜ?」




「今の世界は法則ばかりだね。
それに従えば、お金とか健康が手に入ると思ってる」




「機械的になってまで欲しいのかね。
ずいぶんと幅の狭い人生だ」




☞☞




「でも揺り戻しが来るでしょ、
君もよく言ってるじゃない」




「そうならないかもしれないね」




「揺り戻しは起こらない、と?」




「同じところをグルグル回ってる気がする。
そんな日本回帰なんて、ナショナリズムにすぎないよ」



「なるほど、単なる交替の繰り返しってことだ」



「全体主義の次にデモクラシー。そして独裁。
それがまた全体にとってかわられる・・・・。
志向性がなきゃ、ただの役割交替だ」



「歴史は必ず進歩するという考えは
その場合、ちょっと違うね」



「そんな中、大衆化だけがどんどん進歩している。
これが最近どうにもならないって思ってきた」



「まあ、この国は自由主義国家ですから。。。」



「人をどこぞの独裁者みたいに言うな(笑)」




「距離を置けばいいんじゃないの?
地盤なんて、言われて作るようなもんじゃないし」




「大衆化とは特定個人の変質じゃない。
大衆的な扱いが常識になるってことだ」



「?」




「書斎で魂削ってる批評作家と、ネット掲示板に
悪口を書いている人を同じ扱いにしてしまう空気だ」




「一般的な「孤立」っていうカテゴリーに
まぎれ込んでしまうってことだ」




「自分から求めて孤独になっている人と
嫌いな人を拒絶しまくって、孤独になった人を
一緒にするなんて、まともじゃないよ。








「でも、中国とか北朝鮮のような国だと
抵抗したり孤立することすらできないわけだから、
ある意味平和で良いんじゃないの?」




「確かに。あっちだと粛清~ってやられるな(笑)」




「もっと良い部分を見れば?」




「アメリカみたいなポップな大衆化、
北のような従属化、戦時中の日本みたいな
国粋主義、どれも御免だね」




「だからヤスパースを持ち出したわけだ」




「あいだ、彼の言う「公衆」の立場にいたい」




「ソクラテスに対するプラトンだね。
キリストに対する12使徒、孔子の弟子の位置・・・か」




「僕は天才でも聖人でもないからね。
真っ当な人の真っ当な考えや作品を後世に伝えたい」




「じゃあ、なんで辞めるって言ってんの?」




「・・・・・・」




「・・・・・・」





「どうやって量を作るんだろうな」




「?」





「質だけではダメだから量で行こうと
思ったんだけど失敗した。そっちは危険な思想だった」




「量の定義が違ってたってことだ」




「そう、たくさん書くとか、マスコミに流すとか
ファンを増やすとか、雑誌に連載を書くことが量だと思ってた」




「それってまさに、横軸的な量だもんね」。




「そこに精神を提供すると、おかしくなった。
多分に、本来の量は「力」なんだろうな」




「質の回帰ではなくて、質量を超えたもんか」




「三島、小林、本居、ゴッホ・・・
時代を超えて現代に蘇ってる人は皆、力を持っている」




「バタイユ、さっきのニーチェもそうだね」




「だから困ってる。仮にそれができても
現実に負けてしまうよ」




「そりゃそうだよ。それは利潤を追求する経済とか
権力闘争の政治の世界では失敗する考えだもん」




「タックスヘイブンを正当化する経済なんてクソだ」




「まあまあ(笑)」




「そうなるともう、社会が権欲と物欲を超越するか
喪失するか以外、道がない気がしてね」




「・・・・・・一回、ローラーがダーッと
地面を荒らすまで待つってこと?」




「その後でゆっくり木でも植えりゃいい。
ローラーは経済人か政治家が勝手に引くだろ」




「それも良いかもしれないね。
君、基本的に遊び人だし。すぐ離れられるよ(笑)」





「かもね」





「しばらくの間、ゆっくりしたら?
例の件も片付いたし、丁度良いじゃない」





「・・・・・・・もう少し考えたい」





「執着を手放したら、
新しいものが入ってくるって」





「その法則が嫌いなんだって。
知ってて言ってるだろ(笑)」






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