2015/08/26

対話編 ~根拠と自信~




「ねえねえ、24時間テレビが放送されると、
夏が終わっちゃう感じがしない?」



「そうだな。見てないけど」



「・・・・あっそ」




「そういや今年はBBQに行ったか?」




「行ってない、誘われたけど仕事だった」




「そうか。残念だったな」




「お祭りも、もう少し遠くに行きたかったな~」



「来年は京都に行くんだろ」



「そう!独立してから全然行けてないからね。
大文字、見てくる♪」



「それが仕事になれば、天職だな」



「そんな仕事があればね~。
あー、好きなことで仕事したいな~」




「できると良いな、いや、きっと出来るよ」




「あら、珍し」




「本当に好きなら仕事にできるか
やってみればいい。
前例や根拠なんていらないよ」



「あらら。どしたの」




「今ある浅い制度や常識に縛られず、
もっと根拠のない自信を持てってこと」




「いつもの長い説明がないなんて・・・
だから台風が直撃したんだ」




「ほう、そんなにゴタクが聞きたいのか」




「おっと、ヤブヘビ」










「なぜ、多くの人が仕事を嫌がるか、分かるか」



「きつい仕事もあるし、人間関係でストレスあるし、
規則があって好きなようにできないからじゃない?」



「じゃあ、逆に楽でストレスもなくて、
自由にできる仕事は最高ってことになるか?」



「あっ、そういやこの間、
それは違うって言ってたね」



「それはやがて無意味で退屈な環境になる。
そして我々はそれに耐えることができないのだ」



極楽って、退屈極まりない世界だもんね



「だから自分の中で意味を見出せるものしか、
続けることはできないのだ」




「君は大半が無意味だと言われる中にも
好きなことを発見することはある、って言ってるよね」



「そう、その好きには理由はない。
聞いても好きだとしか、答えられない」



「個性に近いね」




「そうだな。世間に合わせても、合わせても
どうしても合わないものが個性だからな」




「君の好きな三島由紀夫を見るとそう思う。
なんだか、逃れられない個性を自覚的に諦めてる気がする」




「彼は突き通したかったんじゃない。
突き通さずにはいられなかったのだろう」



☞☞



「それを自覚的に発見して
独立しろって言ってるんだ」



「僕がそうしてるだけだけだ」



「なんで?・・・って理由はナンセンスか」




「いや、意味ならいくらでも言えるよ。
例えば、マーケティング的に考えれば
もっと細かい層にアプローチしたり、
最大公約数的なビジネスの方が確かに合理的だ」




「そりゃそうだよ。感覚だけを頼りにして、
どう安定するのさ」




「だれも感覚だけでやれとは言ってない。
しかし、好きから外れた方法は興味が起きない」



「内部派生、自己中心じゃないからね」



「つまり、マーケティング的なものの中に
自分が入っていなければ、いくら効果があるといっても
長続きはしない。やっても薄っぺらいものになるだけだ」



「snsで集客出来てる人はそれ自体が
楽しいから出来てる、ってこと?」



「そう。商品やサービスだってそうだ。
いくら市場とマッチングしているからといって、
肝心の自分自身が魅力を感じないのなら、
それを売ったところで共感なんて起きないよ」



「またコンサルと逆の事、言って。
アンチから批判メールくるよ」



「表現の自由だから、いいんじゃない。
アンチはあって当然だよ、ただ好んで見ないけど」



「はいはい。じゃあ君はコンテンツに限っては
エッジを尖らせろって言ってるんだね」



「自分が惹かれるような店を作ろうとすれば、
自然とエッジが尖ってしまうのだ」




「それって、自己正当化っぽくない?」




「それもあるだろう。ただ、それは自分と
近い感性を持った人には受け入れられる。
これは間違いないよな」




「君に近い感性を持った人が
いるかどうかは分からないけど(笑)」




「じゃあ、それが集まってくるのを期待するのは
全然悪いことじゃないよな」




「理想はそうだけど・・・・」




「まさにその「理想はそうだけど」が
曲者なのだ。」




「普通そうじゃない」




「現代の常套句は聞き飽きた。
君ね~理想はそうだけど、現実は厳しいよ~。だろ」




「・・・・・なんか腹立つ」




「その前提にあるのが、さっき言った「根拠」だ。
だから根拠なんてもの信用するに値しない」




「根拠のない自信って、今の時代
よほどの自信家じゃないと持てないよ」





「そうじゃない。今の時代は根拠を
あまりにも求めすぎているだけだ」




「だって、科学的じゃないなんて
なんだか頼りなく感じるもん」




「現実は根拠より先行する。
これが分からないのが、現代の癖。
近代の弊害でもある」




「どゆこと?」




「例えば、リンゴが落ちたのを見て
ニュートンは万有引力の法則を発見したよな」




「有名な話だね。作り話みたいだけど」




「そんな話はどうでもいい。
要は、万有引力の法則が発見された途端、
世界中のリンゴが落ちだしたわけではない、ってこと」




「そういわれると、確かにそうだね」



「これが先に根拠を求める奴らは逆だ。
万有引力が発見されなければ、リンゴは
落ちない、落ちても偶然だと言って認めないのだ」




「非科学的って、単に今の科学では
見つかってないだけだったりするしね」




「つまり現実は厳しい、と言ってるやつらが
見る現実とは、根拠性のある現実。そんなもの
信じなくていい」





「なるへそ。理詰めで抽象論を正当化したね(笑)
よ~し、やる気出てきた~」





「よしっ、次回に続くぞ!」





「うざ・・・・ヤブヘビよりタチ悪い」






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