2015/07/03

対話編 ~天国と地獄~






「・・・・・・はァ」




「ん、溜息なんてついてどうした」





「ねえ、僕は幸せになれないの?」




「結論から聞くな。意味が分からない」




「この間ね、セミナーに行ってきたんだ」




「またセミナーか、懲りんやつだ」




「そこでね、天国言葉を話さないと
幸せにならないって言われたんだ」




「ふん、何とかふたりって人の言葉だな。
僕は自分の物差しを押し付ける奴は大嫌いだ」




「最初は僕も納得してたから、
天国言葉を積極的に使ってたんだけど・・・」




「疲れるだろ」




「そう、最近なんて棒読みになってきてて・・・」




「うつ病に頑張れって言っても逆効果だからな」




「僕は鬱じゃない」




「心を無視して言挙げすんな、ってこと」




「・・・・・・」




「自分の思うようにやればいいんだよ。
自然体でない今の方がおかしい」





「でも、明るい、楽しい人になりたい」




「人気者になりたいのか」




「違うよ、ビジネスする人には必要だってこと。
君はちょっと重い記事書くから気を付けないと嫌われるよ」




「アホか、そんなに人間は単純じゃない。
静かな場所で一人になりたい時もあるし
愚痴を言える場所だって欲しいのが人間だ」




「あー、確かに。美容室で明るい接客に
抵抗ある人って多いよね」




「その点、有名なクラブのママさんは流石だな、と思うね。
まさに相手の本質に寄り添ってる」




「君はできないでしょ」




「僕は偏屈だからできない。個性から
ビジネスモデルを作るしかないのだ」




「お気の毒さま」




今はね




☞☞




「この間、偵察がてらハンバーガ屋に
行ってきたんだがね」



「珍し」




「ちょうど地区マネージャらしき人がいて、
バイトの若い子を指導してたんだけど、
小声で話すその声が聞こえてきたんだ」




「なんて言ってたの?」




「スマイル、だって。バイト君は必死に
ポテト揚げてて、顔が真剣だったんだけどな」




「真剣な顔って・・・いいじゃない」




「だろ、僕は真剣さが伝われば
愛想が悪くても信頼するね」




「そこに笑え、って言われてたんだ」




「まあ、最近ちょっとしたことで
クレームだす客も悪い」



「どっちもどっちだね」




「仕事は苦しいことも楽しいこともある。
それを認識しないと、極端な肯定や否定が生まれる」




「あるね、過酷な労働だけどキラキラさせる教育」




「他者の楽しさだけ求めてしまうと
自己犠牲的な精神を押し付けてしまう、
逆もしかりだ」




「自然に楽しくなれる職場が
あったらいいね。毎日が祭りみたいな」




「いいね、じゃあ次回はその理想を
どうやって実現させるか、考えてみようか」




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